
蟲師スペシャルの続き。後半の#11です。
贖罪。
ただ一緒にいたかった。
ただ幸せになりたかった。
山のヌシとなった蟲師の話。

■Aパート
思わず噴き出しました(笑)
いきなりギンコがとぼけた顔で蕎麦を啜りながら「やまに穴が開いていた。」ですよ!?
いったいどーせいっちゅーねん!(大笑)
気を取り直してっと…
旅人達は「さすが霊峰」と讃えるが…
次の瞬間ギンコが見てみると穴は消えていた。
麓の村では村人達が山のことで相談をしていた。
その村の話し合いの場を訪れたギンコは役に立てるのではないかと話しかけるが…
村人を代表して長が蟲師ギンコに依頼をする。
「この山深くに住むムジカという蟲師を探してはもらえまいか。」
この山には全てを知るというヌシ様がいた。ムジカはヌシ様の意向を聞き村人に伝えていた。ムジカより収穫期の入山は禁忌とされるが、そのムジカが庵から消えてしまい数人が探しに禁を破って入山したところ、病に侵され命を落としかけてしまったと言う。
依頼を受けたギンコは入山する。そこで見たものは山の精気溢れる姿。それは異様なほどだった。
そう…そこはコウミャクスジだったのだ。
「生命の河の流れるところ。まして今は実りの時期。普通の山でも精気は増す。不用意に入れば精気にあてられ気が惑う。」
ここがコウミャクスジならばヌシが統制をとるはず。山の異変はヌシの変調。
件の蟲師が詳細を知っていると推測するギンコのもとに一人の少年が迷い出る。
精気にあてられた少年を介抱すると、少年はムジカを探しに来た弟子だと言う。
ギンコは少年に丸薬を奥歯に挟んでいるように言い手渡すが少年は噛み砕いてしまう。
「に…にがっ!」
丸薬は気付け薬だった。涙目になって抗議する少年(笑)

ギンコは少年にじっとしてる様に言いムジカを見つける儀式を始める。
『モグラノリ』
ギンコはモグラという山の神経のような蟲に意識を移し草木を巡り探し出そうというのだ。
モグラに乗り山を駆け巡るギンコはムジカを見つけるが、ムジカに見られた瞬間モグラを引き剥がされてしまった。
何かに気付いたギンコは少年を連れて山深く侵入していく。
山を歩くギンコたちの耳に鐘の音が聞こえる。
所在を知らないギンコは気にも留めなかったが、少年は鐘の音が聞こえた方向に鐘があったか気になっていた。
「この辺りのはずだが…」
周りを見渡すギンコたちは崖の下に横たわる人を見つける。
「お〜い…」
余裕綽々のムジカ(ぉ

ムジカは足を滑らせ怪我をしたため動けずにいたのだ。
庵で酒を酌み交わすムジカとギンコ。好々爺然としたムジカはすっかりギンコと意気投合した様子。
ヌシの正体はムジカ。崖下で動けずにいたムジカがヌシの術の更新が行えなえなかったために、山に異変が起きたのだった。
実は山の精気を抑える正当なヌシがいたのだが、里の者が誤って(知らずに)殺してしまったのだった。そのため山に異変が起こり、困り果てた里に親交のあったムジカが仮のヌシの役目を担ってきたのだった。
少年は、山から生まれ山に育てられた子。
里では山の影響で子がたくさん生まれるが、全てを育てきれずに山に捨てられる子がある。そのなかでただ一人生き延びた子だった。
その時鐘の音が響き渡る…真夜中に…
ギンコが流れ者として蟲師をしている理由が語られる。
それは、蟲を寄せ付けてしまうから。一所に留まればそこを蟲の巣窟にしてしまうから。
山から離れられないムジカは、正反対のギンコをほんの少し羨ましく思うのだった…
少年の名はコダマ。
ムジカと別れ、ギンコと里に戻っていった。
ムジカのことを信じて。今でも弟子であると信じて。

■Bパート
響き渡る鐘の音。その音はだんだんと近づいてきていた。
ギンコが不審に思い始めたとき、コダマも異変に気付き始めた。
近くに鐘はなく、その音はギンコとコダマにしか聞こえていなかった。
「ひとつ聞く…お前、もうヌシの術は習ったのか?」
コダマに問うギンコ。
「ヌシ?」
コダマは何も知らなかった。ヌシの事も、術のことも。
話を聞いたギンコは、コダマに家に帰るよう言いつけ山に入っていく。
静まり返った山。『アレ』がそこまで来てると感じるギンコ。ムジカが呼び寄せた『アレ』とは一体…
ギンコの後をコダマが気付かれないように必死で追いかける。
庵にギンコが辿り着いたとき、そこには誰もいなかった。
近づく鐘の音。音の進路から山頂と目星をつけ急ぎ向かうギンコ。

頂にはムジカが静かに佇んでいた。
ギンコはムジカに問い詰める。
「アンタ、足に怪我なんてしてないな。ずっと人目につかないあの場所で『クチナワ』を呼んでいたんだ。」
近づく鐘の音は『クチナワ』の鳴き声。
『蟲喰いの蟲』
山のヌシや沼のヌシを食べ、取って代わる蟲が『クチナワ』
「そして、その場所に安定をもたらす蟲。」
使命ゆえ邪魔をするなと言うムジカ。
巨大な老猪の姿をした美しいヌシ…
ムジカの不注意から死なせてしまったヌシ。ムジカは、ヌシの交代を行おうとしていた。自らを贄として…
ギンコはムジカのやり方を認めない。犠牲を出すやり方を…
コダマや里の者たち…
ムジカを慕うものたち、悲しむ者たちがいる。
ムジカがギンコを羨ましがったように、ギンコもムジカが羨ましかったのだ。一所に留まれることが。
巻き込まれる危険を承知で『モグラノリ』を行うギンコ。ムジカを助けるために。

ひときわ大きく鳴り響く鐘の音。
コダマが振り返ったそこには蛇のような巨大な蟲が突き進んでいた。
「なんだこれ?…ムジカ?…ムジカー!!」
叫ぶコダマ。
叫びが聞こえたかのように振り返るムジカ。
そして…
霧散していく…
里を訪れるムジカ。
歓迎する里の者たちとサク。
宴の席でムジカは不用意に口を滑らしてしまう。
「ここに俺が住めるとすればひとつだけ…山のヌシを殺して食って俺がヌシとなることだ。」
それは許さざること…
たとえどんなに望んでも…
翌日。
ムジカの荷からヌシの通り道の地図と毒薬がなくなっていた。
そこにサクが戻ってくる。
「あぁ…牡丹(猪肉)分けてもらったんだ…すぐ鍋にするから…待っててな…うんと美味いの作るから…だから…だから…ずっと…ここに居てくれな…」
それは悲しき記憶…
想うあまりに手を汚してしまった罪…

「けっして自分の記憶ではない夢を見た。」
コダマが山頂に着くとギンコだけが倒れていてムジカの姿はどこにもなかった。庵も跡形もなく消え、それどころか里のものの記憶にムジカは存在しなかった。
「『クチナワ』に喰われる。ヌシの交代というのはそういうことなんだ。その時山にいた者にだけ記憶は残るようだがな。」
ギンコの周りに焚かれた蟲払いの薬。それはコダマが調合したもの。ムジカの弟子であることを誇りに思いながらも悲しみが過ぎるコダマ。
あの時、他に術があったのか…
「ないねぇ…残念ながら…」
ムジカのとった方法しかギンコにも思いつかなかった。
「まるで欠伸でもするように、『クチナワ』は一声あげると、あとはもう静かに腹を波打たせるばかりだった…」
あの山の頂にはムジカが呼び寄せた新しいヌシ『クチナワ』が鎮座していた。
人の意など解せずにただ悠然と…
己を山のヌシとして生き続ける。そして死と引き換えに新しいヌシを呼ぶ。
それは贖罪。
愛する者が犯した許さざる罪。
自分の不注意から愛する者に罪を犯させた。
その贖罪は己を慕う少年に悲しみを与えることになる。
少年は悲しみを乗り越え前へ歩みだす。
なんとなく『重い実』を髣髴させる話でした。
全を犠牲にした個の幸せ。
個を犠牲とした全の幸せ。
諦められない恋慕の情。
切ないなぁ…
何気に口減らしなんていう重いフリもあったり…
そうそう。
霊峰と呼ばれる山は蛇を神格化したものという話はよくありますね。
有名どこだと…
三輪山なんかがそうだったはずです。祭神は大物主大神で蛇神様だったはずです。
山(ピラミッド含)と蛇神を結び付けていることは世界中でよくある話なので調べてみてもおもしろいかも…かも。
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