
#12です。サブタイトルは『すがめのうお』と読みます。
存在。
この世界にどう在るべきか。
絆。
出会わなければ…
出会ったからこそ…
想いは心深く刻まれる。

■アバン
森に横たわる少年。
森を見上げるて少年は意識を失う…
蟲師でアバン有りは2回目でしょうか???
この少年はいったい誰???

■Aパート
少年を見つける白髪の女。
「おい。小僧。生きてるのか。」
少年が目を覚ますとそこは何処かの家だった。天井に蟲を見る少年。
物音に振り返るとそこには白髪の女がいた。
ぶっきらぼうのくせにしっかり助けてるのがいいね!
「お前蟲が見えるのか?」
白髪の女は問いかけ、光を帯びている蟲は影響力は少ないと教えてやる。
「それとも私のほうが恐ろしいか?」
女は薬を飲むように言い出て行ってしまう。
少年は恐る恐る薬に口をつけるが…
「ぐぁ…」
トンでもない味だったらしい(笑)

少年の手を引く母。どうやら道を間違えてしまったらしい。
少年は母にすがりつく。奇妙なものが見えてしまうから。
「大丈夫、大丈夫。そんなモノは幻だよ。」
少年の名はヨキ。母は優しく微笑み頭を撫でて安心させてやる。
しかし、ふたりは土砂崩れに巻き込まれてしまう。
何とか一命を取り留めたヨキ。しかし母は…
母の死体を前に動くことのできないヨキ。
やがて日が暮れるとヨキの傍を蟲が横切る。
ヨキはまるで誘われるが如くあとをついて行く。
ヨキは自分の身に起きたことを思い出し号泣していた。
「怯えることはない。」
白髪の女の言葉が頭を過ぎる。
そしてヨキは泣きながらも面を上げた…

ヨキの怪我は大分良くなり杖を突きながらなら歩けるようになっていた。
近くの池に足を伸ばすヨキ。そこには不思議な魚が泳いでいた。
「真白で目が緑…どれも片目がない…」
「池にすむ蟲のせいだ。」
背後にはいつの間にか白髪の女がいて、夜や明け方には近づかないように注意を受ける。
ヨキは蟲について質問すると女は説明をしてくれた。
「我々の命の別の形だ。」
女の説明にすとんと納得できたヨキ。
ヨキは杖なしで水汲みを手伝えるほどに回復してきていた。
女はヨキに足の具合を聞く。
まだここに居たいヨキは、まだ足には痛みがあり帰るところもないと答える。
それよりヨキは池の蟲について聞きたがった。
「姿は…『闇』としか言えない。」
「闇?」
「そう…闇にはふたつある。ひとつは目を閉じたり蔵の中や月のない夜、日や明かりを遮ったときにできる闇。もうひとつが常の闇。昼間はああした暗い所でジッとしているが、夜になると池を出て小さき蟲を喰う。」
「池の魚やぬいさんがそんな髪や目になったのは?」
「明け方、ときに池が銀色に光っていることがある。おそらく喰った蟲を光に分解してるんだろう。アレを繰り返し浴びるとこうなるようだ。」
女の名はぬいという。蟲に詳しい謎めいた女。
ここに居続ければ両目とも失うのではないかと心配するヨキに、不思議と両目を失う魚は居ないそういうものなのだと答えるぬい。
蟲の名。闇の蟲は『トコヤミ』という。光の蟲は『ギンコ』とぬいは呼んでいた。

キノコの見分け方をヨキに教えるぬい。
かじってみたら酷い味(笑)
「死にゃあしないよ。」
ヨキもぬいに懐き、ぬいも楽しそうに過ごしていた。
頭上にあるダマになってる蟲にぬいは煙を吹きかけると蟲たちは散っていく。
興味を持つヨキにやらせてみると煙で咳き込んでしまう。
とても穏やかな日々。静かに過ぎていくふたりの時間。
ぬいの目はおそらくはギンコの影響で夜目が効くようになっていた。
ぬいはヨキにひとつの話を聞かせる。
夜。月や星が突然なくなり方向が分からなくなり、さらに自分の名前や過去のことも思い出せないとき、それはトコヤミが傍にあるから。どうにか思い出せれば抜けられるが、思い出せないなら思いついた名をつければいい。ただし前の名だった頃のことは思い出せなくなる。

ヨキは意を決してぬいがこの山にいる理由を聞く。
近くにあるぬいの故郷。生来蟲を寄せ付ける体質のぬいは、蟲師として里を巡る旅をしていた。ぬいは家族や友人に会うために足繁く里に戻っていた。ある時、家族や友人を含む村人が山から戻らない事件が起こる。蟲師であるぬいは池に棲むモノがトコヤミだと気づく。ぬいはまだ彷徨っているだろう者達を諦めきれずに、6年もの間居続けていたのだった。
探す手伝いをするというヨキに「ここに居る為の口実にすんじゃないよ。」と強く拒絶するぬいだった。

■Bパート
気まずい空気の中、床につくふたり。
夜が明けるとヨキは池に訪れる。明け方には近づかないように言われていたのに。
ぬいが何かを隠していると感じたヨキは、秘密を探る為に池を刺激してトコヤミやギンコを誘い出そうとする。
襲い掛かるトコヤミ。光りはじめるギンコ。
あまりのことにヨキは腰を抜かす。
光る池の中で魚の残った目が潰れていく…そして姿もなくなるのだった。
そこに現れたぬいにヨキは問い詰める。
「ぬい…片目の魚しか居ないのは両目がなくなったら消えちゃうからなんだ。ねぇ…知ってたの?」
ぬいはそんなこと百も承知だった。ギンコの光により生き物はトコヤミになってしまうのだ。
ヨキはぬいに、なぜこんなにも恐ろしい蟲を放っておくのかと、問い詰める。
「恐れや怒りに目を眩まされるな。みな、ただそれぞれが在るように在るだけ。逃れられるモノからは、知恵ある我々が逃れればいい。蟲師とはずっと遥か古来からその術を探してきた者達だ。」
ぬいはギンコの記録をつけていた。魚の行く末を知ったときには、既に光を浴びすぎていたのだった。
どんなことをしても遅らせるだけで、いずれはトコヤミとなってしまう。
家族がトコヤミとなったことを認めたくないぬいは探し続けたが、いつの頃からか全てはここにあると悟ってしまっていたのだ。
全ては手遅れなこと…
しかしぬいは、ヨキとの暮らしを心地よく感じてしまった。だからこそ辛い…
楽しくて嬉しくて…未練が残る。別れが辛すぎるのだ。
ヨキを突き飛ばし旅立つように言うぬい。
「俺の故郷ならここだ!」
「違う。ここは私とトコヤミたちの場所。お前の居ていい場所じゃない。」

ヨキはひとり旅立つ。
どうしようもない寂しさを抱えて。
「これでもう…いいよなぁ…」
ギンコの光を浴びてトコヤミとなっていくぬい。
ヨキは池の変化に気付き駆け出す。
「行っちゃやだ!行っちゃやだ!」
止め処なく溢れ出す想い…
途中、ぬいの姿をした影を見つけ走り近づいていくヨキ。腕を掴むとそこからヨキは影に侵食されていく。
トコヤミ…
「なんてことを…」
ぬいの声に目を覚ますヨキ。
ギンコが目覚める前にできるだけ遠くに逃げるようヨキの手を引く光の姿のぬい。
まるであの時の母のようにぬいは、優しく手を繋ぎ導いてくれる。
体温のないぬい。まだ温かいヨキ。
ヨキのぬくもりが、ヨキのまなざしが、ぬいには日が当たるように温かく感じていた。
「この先は片目を閉じてお行き。ひとつはギンコにくれてやれ。トコヤミから抜け出すために。だがもうひとつは堅く閉じろ。また日の光を見るために。」

ヨキの片目を瞑らせて送り出すぬい。ギンコの目覚めと共に姿を崩していく…
トコヤミの底の目のない魚。ギンコが深く深く闇の底に泳いで行った…
トコヤミから抜け出たヨキは記憶が曖昧になっていた。
自分の名前も思い出せないほどに…
その翌日。右目は日の光を見ていた。ぬいが望んだように…
道に迷い出たヨキは村人に会い、そのまま倒れこんでしまう。

村人に助けられたヨキはその家で世話になっていた。
しかし、名前以外全てを忘れてしまっていた。
そう…トコヤミから逃れたのに名前だけしか覚えていないのだ。それは…
「左目の穴は日の下においても闇を掬い取ったかのように暗く、それは奇妙なモノを寄せ付けた。」
記憶をなくしてもあのあたたかな日々は心に染み付いていた…
少年の名はギンコ。ある蟲師の失った記憶…
やべぇ…泣いた…画面が滲んだ…
これ書いてても涙腺が緩む…
ギンコが白髪になり、右目は闇が支配している理由が語られましたね。
たったひとりの肉親である母を失ったヨキと夫と子を失ったぬい。
ふたりが出会いまるで本当の母子のように過ごした日々。
できることならそのまま居続けたいと願いつつも叶わない想い。
記憶をなくしても心に残るあたたかな想い。
そして、人として…いやこの世界に生きるものとしての在り方。
排除するのではなく共生していく方法の探索。それが智慧。
存在と絆が強く語られた話ではないかと思います。
ちなみに、眇(すがめ)というのは『片方の目が細いこと。また、つぶれていること。』を言うそうです。
やっぱり蟲師は過去のアニメ作品と比べても群を抜いて物凄い出来なんだと痛感した話でもあります。
自分の中では蟲師がNo.1アニメではないかと感じる今日この頃です。
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