
#13です。
村を捨てられない優しさ。
想い続ける純真さ。
決して断ち切れぬ募る想い。

■Aパート
山中を駆ける男女。
橋を慎重に渡る。
しかし、橋板が抜けハナは落下してしまう。
「ハナーっ!」
「いい感じの橋だなぁおい…渡るしかねぇか…」
村へ向かうギンコは橋を渡る。橋に何かを感じているのか…一体何が待ち受けているのか…
「ぶちんっ」と切れた綱。
カクカクと速攻で渡る。なんだ古くて不安だっただけかよ!(チッ
橋を渡り人心地ついたギンコの元を青年が通りかかる。
ギンコは橋が危ないことを告げ、ついでに手紙の差出人を知っているか尋ねる。

訪れた家にはハナがいた。
あれから3年。
蔓橋から落ちて以来、日向でぼーっとするばかりの日々。
ギンコは花の様子を観察する。ハナから伸びる髪のようなモノ。ギンコが触れようとするとふわっと逃げていく。
外ではあの青年がギンコを待っていた。
「ハナをあんなにしたのは俺だ…」
沈痛な面持ちの青年。
ギンコは谷底への案内を願い、落ちたときの様子を尋ねた。
3年前…
ハナに本家からの縁談話が来ていた。泣きくれるハナ。
縁談を断れば村への支援がなくなる。断れない。ふたりは駆落ちを決断する。
夜。谷を抜け出し橋を渡る。
ハナを気遣いつつ慎重に渡っていくゼン。しかし、ここにきてハナは躊躇していた。
「ゼン…やっぱりダメだよ。こんな風に私達だけ幸せになれないよ…」
嫁いだとしてもずっと想い続けると誓うハナだがゼンは耐えられないと叫ぶ。
とにかく橋を渡ってしまおうと手を差し出すゼンにハナは後ずさる。そのとき…
「バキッ!」
落ちていくハナ。
必死に手を伸ばすゼン。
「ハナーっ!」

谷底を捜索するゼンと村人達。
ゼンは見つけた…傷だらけで歩くハナを…
「到底助からない高さから落ちたはずなのに…ハナは自分の足で歩いて戻った。ただ…中身は蛻の殻になってしまっていた…」
「みんな谷戻りになっちまったと嘆いたよ。」
谷戻りとは、谷に落ちた者が心を食われた状態で戻ること。そして谷に一夜橋が架かる夜に死んでしまう。ずいぶん前に一夜限りの橋が架かるのを見たものがいた。

ギンコは谷底で『ニセカズラ』の気配を察知する。ハナの体をのっとっている蔓状の蟲。
木に登ったギンコはニセカズラを確かめる。
弱々しいニセカズラ。日が翳ると残った陽だまりへ集まっていく。日の当たりが足りなさ過ぎるようだ。
ギンコある結論に至る。
「谷戻りも一夜橋もおそらくただの言い伝えじゃない。どっちもニセカズラで説明がつく。普通ニセカズラは木の上で生活してるモノだが、この谷のニセカズラは生物の身体をのっとることで谷の底から出ようとしているのだろう。やつらにはもっと日の光が必要だが、谷を登る力が備わってないからだ。そして、生物の身体に宿り、日の光を浴び、力を蓄える。そういう輩が一定数に達するごとに宿主から出て、群れを成し、谷を渡り、より望ましい場所に移住する。それが一夜橋なんじゃねえかなぁ。以前聞いたことがある。およそ20年ごとに蟲の渡りがある谷がある…とな。」
蟲が抜けた後もとに戻らないのは死体に寄生しているから。すなわち抜け出れば死体に戻るだけ。
一夜橋が現れるのはおそらく今年。ゼンはほんの少しでもいいから先に延ばせないかとギンコに頼むが…

■Bパート
依頼主である母親に報告をするギンコ。
確実に長く生かすには今のままがいちばんいい。蟲を無理抜けば十中八九その場で亡くなる。しかし母親は、かまわないと、このまま生きていて幸せかと、ならばいっそと、言い放つ。
無謀な賭けをせずとも、3年前に生きていたなら一夜橋が出た後にもとに戻る。しかし一夜橋などという不確かな物を待てないの言う母。これ以上、良縁の相手を待たすわけには行かないから…。
「そんな話にはのれない。」
母親のあまりの言い草にギンコは断り席を立つ。彼女はまだ世界に生かされているのだ。
村を発とうとするギンコは途中ゼンに会う。
ゼンは明日中に橋を補強するのでそれまで休んでいってくれと家に誘う。
ゼンは駆落ちの代償として村八分にあっていた。
村を出て行かなかったのはハナが生きていたから…いなくなったら…
橋では誰かが斧を持ち橋を落とそうとしていた。
異様な物音で起きたギンコは音の元へ向かうと、今まさに橋が落ちる瞬間。
唖然とするギンコ。
冗談交じりにギンコが渡ったからだとおっさんに言われるし(笑)
橋の傍らではハナの母が不敵な表情を浮かべていた。

ハナの母はゼンの家にギンコを連れ戻しに来る。隠れるギンコ。ホント冗談じゃないねぇ。
山の中でギンコは鹿に寄生するニセカズラを見つける。このあたりに谷戻りがもっといるのではないかと考えるギンコ。
その頃、ハナは何かに反応したかのように、何処かへ歩き出だしていた。
ゼンは山中で橋を修理する為の蔓をとっていた。そこに彷徨い歩いたハナが通りかかる。
何処かへ行こうとするハナを呼び止め腕をつかむ。
「あたたかい…」
ゼンは込み上げる愛しさからハナを抱きしめる。
「なぁおまえ…ハナだよな?何もかも…忘れちまってるだけだよな?」
しかし、そこをハナの母と村人に見つかり、母が無理やり引き離したハナの首から、一筋のニセカズラが抜き出てきた。
ニセカズラが抜け出たハナは息をしていなかった。
あまりのショックに茫然自失し座り込むゼン。
悲しすぎるよ…

山を探索していたギンコは愕然とするゼンに駆けよる。
「ハナが死んだ…首から黒い縄が抜けてった…」
村に残る理由のなくなったゼンにギンコは一緒に村を出ようと誘う。一夜橋が架かるのはおそらく今夜。
山の中は力を蓄えたニセカズラでいっぱいだった。
集まりだすニセカズラ。無数のニセカズラが寄り集まり橋を形成していく。
ギンコはゼンに尋ねる。
「未練はないな?この橋、戻れば落ちるぞ。」
渡り始めるギンコ。そしてゼン。
全てを忘れ新天地へ赴こうとするゼン。そのとき一筋のニセカズラが手に絡みつき、ハナの首筋のニセカズラを思い出してしまう。
振り返るギンコ。
「何してる?もう戻れやしないぞ!」
「進めない…この中にハナだった奴がいる…」
説得をするギンコだがゼンは進むことができなかった。

ハナへの純粋すぎる想い…
「踏みつけてなんざ、進めねぇ。」
後ずさるゼン。
「戻るな!」
後退した足元のニセカズラが切れ谷底へ落ちていく…
その後ゼンはどうなったのか…おそらく…
…
……
………
「あの谷に…一夜ばかりの橋が架かるのは…およそまた…20年の後…」
せつない…
悲しすぎる…
救いがないよ…
互いに深く想い合っているゼンとハナ。
村の都合の縁談。
ハナの母も凄まじい。娘の生よりも3年も前の援助の話を選んだ。
援助を受けられないなら死んでしまえってことだよな…村八分が怖かったのかもしれんが…
ただ一人を想い続け生きていたゼン。3年間ハナであった蟲。例え蟲でもそれは想い続けた人。
犠牲になったのは純真だったふたり。
蟲は光を求めて旅立ち、人は橋を渡らず居続ける。
現実問題として置き換えるとかなり辛い状況ですね。
人工呼吸器などの生命維持装置で生かされている患者。
植物状態の脳死の患者。
身体は温かく、脈を打つ…
安楽死や尊厳死に関わる問題。
村八分。
地域の共同作業のうち葬式と火事以外の交流を絶つこと。
このふたつは当人だけでなく他人にも迷惑がかかるから仕方なく行う。
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